第5戦菅生大会で3台完走を果たし、ムルシエラゴの66号車はもちろん、ガイヤルドの88、87号車もポテンシャルを上げて、灼熱の鈴鹿に臨むことになりました。
以前はポッカ1000kmとして、近年はスーパーGTに組み込まれて今回38回を迎えるこの大会は今年、とうとう700kmレースとなり「第38回インターナショナルポッカGTサマースペシャル」という名称となりました。短くなるのは選手への負担軽減とチームの経済的負担軽減ですね。
TeamJLOCとしては、ポッカ1000km時代の2000年に総合3位表彰台、2005年にGT500クラス3位表彰台を果たしている縁起のいい大会なので、ここで3台共に表彰台を狙っています。
また性能調整ですが、前回のままで変更はありません。
チームは8月21日金曜日に、鈴鹿サーキット17〜19番ピットに3台のランボルギーニレースカーを持ち込みました。週末の天候はおおむね快晴の予報で、逆に暑さが心配されます。今回、ドライバーヘルメットにも熱対策を施してあります。
3台とも入賞体制を維持し、ドライバーもメカニックも戦闘意欲満々で、良い結果が期待されます。
土曜日午前中はドライバーのブリーフィング、車両は公式車検などを経て、10時40分から1時間45分の練習走行があります。ここでは3台とも好調に走りましたが、走行終了直前、66号車ムルシエラゴRG-1をドライブする山西選手がGT300ではただ1台、2分8秒台を出してトップになりました。
さらには88号車も2分9秒218で4番手のタイムを記録し、速さをアピールしました。ただ87号車はセッティングが決まらないためか2分10秒982で15番手のタイムに終わりましたが、午後2時40分開始の予選までに調整をします。
今回の予選はセッション1、セッション2、セッション3の3回に分けられ、それぞれのセッションで上位タイムをマークしたチームのみが次のセッションへの出走が許されるノックダウン方式で、GT300の場合はセッション1で16台が残り、セッション2で10台が残り、セッション3で上位10台の順位が決まります。
また、セッション2と3のドライバーは変更しなければならないので、両ドライバーをどのセッションに走らせるか作戦を立てなければならないのです。さらにはセッション3に出た車両はそのタイヤが決勝時スタートタイヤになるので、予選用のソフトタイヤを使って上位を狙っても、決勝では、すぐタイヤがタレてラップタイムが落ちてしまう事が予想され、タイヤ選択もチームの作戦によってラップタイムを決める大きな要員となるのです。
午後2時40分開始の予選は30分間の混走で両選手が基準タイムをクリヤし、どちらかの選手が各クラス10分間占有のセッション1で16台が残ることになるのですが、このセッションでは無事3台のランボルギーニは残ることができました。
GT300クラスのセッション2は午後3時40分からの10分間で、ここでは66号車の余郷選手がトップタイム、88号車坂本選手も5番手で残りましたが、87号車井入選手はミッションのトラブルが出て15番手でノックダウンされてしまいました。
GT300クラスのセッション3は午後4時10分からの10分間で、ここでも66号車山西選手はただ一人脅威の2分6秒台を出してポールポジションを奪いました。また、88号車松田選手は8番手となりました。
興奮のピットへTVクルーを始めマスコミが押し寄せ、取材合戦が始まりました。記者会見のインタビュールームで微笑む山西、余郷両選手。が、その頃車検場では、再車検が始まり、問題が起こっていたのです。エアリストリクターを塞いで行うエンジンストップテストで1回だけエンジンが完全に止まらなかったのです。これは極微量のエアがどこからか入っているという事であり、競技上はレギュレーション違反で失格となります。
午後5時を過ぎてから正式な裁定が下り、66号車は予選タイム抹消となり、明日の決勝では最後尾のスタートとなることになったのです。残念ですが仕方がありません。
日曜日、午前10時10分から30分のフリー走行、通称ウォームアップがあります。昨日はあの無念のペナルティーの後、午後6時30分から30分からナイト練習走行があったのですが、88号車、87号車は順当に12、13番手で走ったものの、車両保管されていた66号車は計測できる走行が出来ませんでした。
というわけで、このウォームアップは66号車にとっては大切なセッティングのための走行なのです。しかも最後尾スタートなのでここで他ティームに速さをアピールする必要もあります。
走行が始まると66号車は快調に走り、予定通りトップタイムをマークしました。また、88号車は8番手、87号車も12番手のタイムを出し、3台のランボルギーニは3台とも上位を狙う状況となったのです。
12時40分からのピットウォークをこなし、いよいよ決勝の用意が始まります。今回は700kmで鈴鹿サーキットを121周しますが、GT300は111周程度のフィニッシュ周回となる予定です。3回のピットインを義務化されておりTeamJLOCも各車2人のドライバーが2回づつドライブしゴールをめざす事になります。
今回のスタートドライバーは88号車松田選手、87号車井入選手、66号車山西選手が担当することになりました。午後2時過ぎに8分間の短いフリー走行の後、燃料満タンで各車スターティンググリッドに向かいます。グリッドは66号車が最後尾の20番グリッドに行った関係で、88号車は7番グリッドから、87号車は14番グリッドからスタートする事になります。
午後3時にフォーメーションラップが始まり1周してレースがスタートしました。3台とも順調で、2周目には88号車は6番手、87号車は12番手、66号車は最後尾から1台ずつパスし15番手となっていました。そして4周目には88号車4番手、87号車10番手、66号車13番手と快進撃です。
今回28周前後でピットインを行う予定ですが、今回は3台が重ならないよう順番に入るようエンジニア同士での打ち合わせが出来ていました。3台のピットインが終わり、33周目の順位は88号車が12番手、66号車が13番手、87号車が16番手という順序です。ピットタイムがやや長い事が順位をおとす原因ですね。
中盤の46周目には88号車7番手、87号車12番手、66号車15番手という順位でしたが55周を回った所で66号車余郷選手から緊急無線が入り、アクセルペダルの反応がないという事でピットインしてきました。原因はアクセルワイヤー及びリターンスプリングの切損ということで、修理が行われましたが、大きなタイムロスで66号車は勝負権が無くなってしまいました。
一方88号車は65周目に10番手、87号車も12番手となり、ピットのタイミングで順位は上下したものの、そのままの順位で走り切りました。88号車10位4ポイント、87号車12位1ポイント、そして66号車も17位で完走し1ポイントを得ることができ、この鈴鹿でも3台完走という実績を残したのでした。