第7戦もてぎを終えて、今シーズンのスーパーGTもあと2戦となりました。もてぎでは66号車が久しぶりの表彰台となりましたが、ガイヤルドの2台もそのポテンシャルが高くなっていることを証明しました。
前回3位の66号車はウエイトハンデ20kgが加算される上、それまで性能繰り上げ措置としての50kg軽減が凍結され、都合もてぎに比べ70kgもの重量増加となってしまいました。88号車はぶつけられての損傷を綺麗に修復、87号車もきっちり整備をして第8戦に望むことになります。レースとレースの間の整備はガレージメンテナンスといい、そこでいかに仕上げてサーキットに持ち込むかが結果に大きな影響を与えるわけです。
逆に言うとサーキットに持ち込んだ時点で、成積はある程度決まっていると言っても過言ではないでしょう。
チームは10月16日木曜日に、オートポリスの20〜22番ピットに3台のランボルギーニを運び入れました。ドライバーも空路、熊本空港から現地入りしました。
天候はこのレースウイークを通して快晴が予報されています。さわやかな高原の秋という風情ですが、朝夕はかなり気温が下がるので要注意です。
金曜日の朝は晴天でしたが非常に寒かったです。この日は午前9時半からと午後2時から、それぞれ90分間の練習走行が予定されています。
一回目のセッション開始時点での気温は16度、路面温度は18度と寒かったですが、徐々に気温、路面温度とも上昇していきました。
3台のランボルギーニは、元気よくピットアウトしていきました。ここで比較的いいタイムを出したのは87号車。1分54秒台でコンスタントに走りましたが、クラッチにトラブルが出て、オーバーホールすることに。午後の走行に間に合うよう、急ぎ作業が行われたことは言うまでもありません。
66号車は一番多く走行しましたが、1分55秒前半に入ったところでこのセッションを終了、88号車もタイムらしいタイムを出せずにいました。
この日のランチは現地のみなさんによるウエルカムパーティー。監督とドライバーが招待されるこのパーティーでJLOCドライバ−6名も現地でとれた素材で地元主婦たちの作る天ぷらやそば、おにぎりなどに舌鼓を打ちました。
午後の走行時間帯となりました。気温23度、路面温度は36度のドライコンディション。
87号車は作業が最終段階とはなっていましたが、まだ整備中なので66号車と88号車が出走します。共に1分54秒台後半でセッティングを煮詰めていく66号車と88号車。
このセッション終盤の占有時間帯にはオーバーホールを終えた87号車も走り出し、明日の予選に備えることになりました。
土曜日は早朝から車検があります。スーパーGTは公開車検といって、ピット前にマシンを並べ、オフィシャルがピットを回るというスタイルです。もちろん観客も間近にマシンを見ることができるわけで、人気が高いわけです。
JLOCのピット前にはたくさんのファンが写真を撮りにきていました。オートポリスでは以前からランボルギーニの熱烈なファンが多く、今年も多くの人が来てくれました。
この日も天気は快晴で心地よい気候です。気温も20度を少し超えて、路面温度も35度前後と、予選車両にとっても文句ないコンディションでした。
9時35分からのドライバーズブリーフィングに出席した選手たちが帰ってくると、いよいよ予選が始まります。今回もスーパーラップ方式なので1回目の予選で10位以内に入ればスーパーラップ、そうでなければ順位が確定します。
午前10時20分、GT300クラスの専有走行で始まったこの20分のセッションで、88号車と66号車は1分53秒台で18、19番手、87号車も1分54秒台に入り21番手に付けました。また、もうひとりのドライバーも基準タイムをクリアし、楽々予選を突破しました。
各車混走時間帯にタイムアップしようとGT500クラスの占有走行20分の間に準備をします。混走時間帯の20分、88号車松田選手、66号車山西選手、87号車和田選手がアタックに出ましたがタイムアップはしたものの、順位は上がらず明日の決勝は88号車は18番手、66号車は19番手、87号車は21番手からのスタートが決定しました。
日曜日朝は気持ち良く晴れて、とてもさわやかでしたが、オートポリス始まって以来という観客数(予選15,300人 : 決勝28,800人)に、周辺の道路で渋滞が起きてしまったようです。ドライバーやメカニックは、8時にはサーキットに着いていたので問題はありませんが、チームゲストの中には渋滞で1時間遅れで到着した人がいたほどでした。
午前9時から30分間のフリー走行は別名ウォームアップランと言って、マシンのセッティングを煮詰める最後のチャンス、あるいは決勝に向けての満タン走行シミュレーションなどをするため、各チームともかなり気合いが入ります。
Team JLOCも88号車、87号車、66号車それぞれが、その作戦にあわせて走行します。88号車は今回シングルポジションフィニッシュを狙います。66号車は+70kgのウエイトでかなり苦しのですが、何とか上位入賞を狙います。
87号車もポテンシャルが上がっているのでいい順位を狙います。
それぞれの思惑を背負い30分のフリー走行は無事に終わりました。10分のインターバルの後、9時40分から20分間はサーキットサファリがあります。これは60km/hで走る観客の乗った観光バスの横をGTマシンが走るというおなじみの企画です。これにも88号車、87号車が参加、66号車は電気系のチェックのためにピットに残りました。
ところが、87号車がホイールを留めるナットが緩んでスピン、スロー走行で帰ってきました。メカニックは急ぎ原因を調べることとなりました。
87号車のホイールナットのトラブルは車軸側にも破損が見られ、ハブを交換して対処しました。ピットウォークが終わるともうスタート進行です。
決勝前の8分間のフリー走行が始まりました。3台のランボルギーニはピットアウトしていきました。ところがここでコース脇に87号車が止まっている姿がモニターに映し出されました。一度動き出したがまた止まってしまいます。栗原選手からの無線ではブレーキがかかった状態で走れないという連絡が入ります。オフィシャルが牽引しますが4輪とも回っていない状態で転がすこともできません。
結局クレーンで吊ってピットに戻してくれたのがスタート20分前でした。調べてみると、ブレーキペダルのバランサーのところが破損していることがわかりました。急ぎ修理に入る87号車。88号車と66号車は無事にグリッドについています。
開会宣言のあとフォーメーションラップが始まりましたが、ピットでは87号車の作業が必死で続けられていました。88号車松田選手、66号車山西選手は無事にスタートしていきます。
87号車はスタートから20分ほどで、ピットアウトしていきました。ところが今度は、88号車が右リヤホイールを失いピットインしてきました。
左リヤホイールも他車に当てられてリムが曲がっています。応急修理を終えてリヤまわりをチェックしてピットアウトして行く88号車。
どうか無事でと願っていると、66号車がリヤタイヤのグリップが無くなってタイヤ交換のためにピットインして来ました。イレギュラーのピットインですが、リヤタイヤを交換し、出ようとするとエンジンがかかりません。
スターターかそれとも電気系か。66号車はピットに戻されて点検に入ってしまいました。
87号車も、88号車も遅れた分を取り返そうと必死で走っていました。レース中盤、87号車は栗原選手から和田選手へ、88号車は松田選手から古谷選手へ交代し、ゴールを目指します。今度ピットインしたら周回数不足で完走できなくなってしまいます。
66号車は修理が終わりましたが、今からコースに復帰しても完走はできないので、ここでリタイヤとなりました。
レースも終盤となります。午後4時を過ぎ、GT500のトップ23号車が300kmを走りきりチェッカーフラッグを受けました。そのままチェッカーフラッグが降られる中、まず88号車、古谷選手がピット前を通過しました。みんな拍手をして迎えました。しばらくして87号車、和田選手も見事チェッカーを受けました。
今回はガイヤルド2台が辛くも完走する結果となりました。次回は最終戦の富士なので、今度こそいい成績を出そうと誓う選手、スタッフでした。