かわら版担当のレース参戦記 第5戦菅生
TeamJLOCは7月26日、第5戦の開催されるスポーツランド菅生に乗り込みました。今回のピットは27〜30番でパドックに入って最も目立つ正面です。また、88号車についてはマレーシア戦に続き山西選手と松田選手のコンビで参戦することになりました。
マレーシアから帰ってきた4台のマシンはそれぞれ入念に整備されムルシエラゴ2台についてはもちろんポイントゲット、ガイヤルドについては2台揃っての完走が目標となっています。
また、今回のレースだけの過酷な要素もあります。それはこのサーキットのレイアウト上の問題でシリーズで唯一グリッド数が38しかなく、そのため5台の予選落ちが確定していることなのです。
このため、このレースに限っては、たとえ予選基準タイムをクリアしても決勝に出場できないこともあるわけです。
予選基準タイムは予選上位3台のベストラップの平均の107%で計算され、今回の場合GT300のトップは1分23秒前後が予想されますので、例えばトップ3台のベストラップの平均が1分23秒000なら、1分28秒810となるわけです。
気象予報によるとこのレースウイークは天候は下り坂であり、予選、決勝は雨も予想されるとのことです。
>>7月27日 金曜日
金曜日の練習走行はいつものように午前と午後の2セッションあります。午前9時45分からの1回目のセッションが始まると66号車は古谷選手、67号車は黒澤選手、87号車は桧井選手、88号車は山西選手がドライブしそれぞれスタートしていきました。
ところが66号車が6周目にトラブルが発生しコース脇に止まってしまいました。通常ならここで赤旗が出て車両回収するべきなのですが、比較的安全な場所とオフィシャルが判断したためか、そのまま走行が続けられました。
30分後他車が原因で赤旗が出てコースが閉鎖されたので、66号車も回収されるはずだったのですが、あろうことか未回収のまま練習走行が開始されてしまいました。
そして開始直後4号車がドライビングミスでコースアウトし、コース脇の66号車に激突し、両車は大破してしまったのです。古谷選手はすでにピットに戻っており無事でしたが66号車はモニターで見ても大きく損傷していることがわかりました。回収しなかったことが原因でこうした2次災害がおこってしまうのは残念なことです。
ピットに戻ってきた66号車は車両後部が大破して、その衝撃はフレームはもとよりエンジンにまで到達するほどの致命的なものでした。ティームはオフィシャルとこの日のコースコントロールをしていたGT-A側に厳重抗議しましたが、66号車についてはこのレースはリタイヤするしか方法がありません。
他の3台は無事にこの日の練習走行をこなしてセットアップできましたが、何とも後味の悪い練習走行日になってしまいました。明日の予選に期待するしかありません。
>>7月28日 土曜日
土曜日は車検、予選がありいつも非常に忙しい1日です。昨日のアクシデントを乗り越えてティームは頑張っていました。公式予選1回目は午前11時からで初めの20分がGT300占有、次の20分がGT500占有、そして最後の20分が両クラス混走です。つまりGT300は初めの20分と最後の20分を走ることになります。この1回目の予選で11位以下のすべてのグリッドが決まってしまうのでここは重要です。
午前11時に67号車は黒澤選手、87号車は桧井選手、88号車は山西選手がスタートしていきました。87、88号車はそれぞれ1分24秒代をマークしましたが今回はスーパーラップに残れず17、18番グリッドが確定しました。
67号車は黒澤選手が基準タイムをクリアすると、すぐさまベテランの和田選手がタイムアタックにかかりました。この予選で下位3台がグリッドの数の関係で予選落ちとなるので必死です。
和田選手は1分27秒221を出して最下位を脱出しましたが、ここまででした。 GT-Aから新規参入車種ということで不当なほどパワーを絞られているため、これ以上のタイムは不可能だったのです。
ティームは他車の欠場の場合に繰り上げ出場が可能な、決勝出場リザーブ届けを出すことで最後の望みをつなぎました。
>>7月29日 日曜日
日曜日はあまり天候がよくありませんでした。雨が降りそうな空です。朝9時からのウォームアップ走行は決勝前の最後のセットアップのチャンスです。87、88号車共に燃料満タンにして、決勝のシミュレーションをします。これは燃料満タン時の車両のバランスを確認するためです。
ウォームアップ走行が始まると同時にピットアウトする2台のムルシエラゴ。しかしいきなりモニターに87号車がエンジンルームから火を出して止まる映像が映りました。ドアがあき桧井選手が飛び出すとコース脇の消火器を持ってクルマに戻り、懸命の消火活動をしています。
走行は赤旗中止となり、ようやく鎮火した87号車の車両回収が始まりました。信じられない光景にティーム内は騒然としています。
ピットに戻った87号車はエンジンルームが焼けてこの日の走行は不可能と判断されました。これで決勝出場は88号車ただ1台となってしまったのです。
決勝は午後2時からでコース全長3.704256kmを81周(300.044736km)することになりますが、GT300は75周程度でチェッカーが出ると予想されます。88号車は山西選手スタートで40周前後でピットインし松田選手にスイッチする計画が練られました。
ティームの期待をこの1台に込めて、午後1時、8分間の短いフリー走行が始まりました。それと同時に雨が降り始めました。88号車は急ぎレインタイヤにチェンジしてグリッドに向かいましたが、その直後雨がかなり強くなってきました。
予報を見るとしばらくは雨が続きそうです。ウエット宣言がされてこのレースはペースカー先導のままスタートが切られることになりました。午後2時、ペースカーに続いて38台のマシンが一斉に動き始めました。かなり路面はウエットで後方は水煙で視界が悪そうです。17番グリッドからスタートした88号車もかなりの水煙の中を走っています。
1周してスタートが切られましたがペースカー先導のまま低速で周回が重ねられます。5周ほど続いたこのペースカーの先導が6周目にペースカーがピットインすると同時に終わりました。そのままスタートです。ここから88号車の山西選手の怒濤の追い上げが始まりました。
ウエットの滑りやすい路面を持ち前のテクニックを駆使して着実に前のクルマを1台また1台と抜いていきます。7周目に16番手、8周目に14番手、9周目に13番手、15周目に12番手、16周目に11番手、19周目に10番手、20周目に9番手、そして24周目に8番手と、その速さは他を圧しました。
上位ティームのピットインが始まり33周目には6番手、34周目には4番手まで上がり38周目にピットインして松田選手に交代しました。燃料満タン乾いてきた路面のためスリックタイヤに変えてスタートしていきました。コースに戻ると11番手だったが松田選手も着実に走ります。47周目に10番手、50周目に9番手に上がり、そしてそのまま74週を走りきり、チェッカーを受けました。
プラットフォームにはティーム全員が出て松田選手の健闘を称えました。