かわら版担当のレース参戦記 GT第1戦鈴鹿

かわら版担当のレース参戦記 GT第1戦鈴鹿
 今年もレースが始まりました。今シーズンはスーパーGTにムルシェ2台とガイヤルド2台の計4台エントリー。ランボ4台なんて世界を探してもありえませーん。
ま、そんなわけで、TeamJLOCは1月22、23日に岡山国際サーキットでプライベートテストをしました。4台ということはドライバーも8人必要になるわけで、そのオーディションもかねて、走らせました。とっても寒い岡山っていうか真冬のサーキットでテストなんて久しぶりです。
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 さらに3月2、3日に鈴鹿サーキットで開催されたGT合同テストにも参加しました。ムルシエラゴの他にガイヤルドもそのオレンジカラーの姿を見せました。まだノーマルのGT-3バージョンですが走りの方でもその高いポテンシャルが感じられました。  こうしたテストの結果、ドライバー8名が選出されて、それぞれ次のようにコンビを組みました。

エースナンバーのアクティオムルシェ88号車は昨年に引続きイタリア人元F1ドライバーのマルコ・アピチェッラ選手と日本の天才ドライバー山西康司選手が最強タッグを組むことになりました。
 マルホンムルシェ87号車には、桧井保孝選手と余郷敦選手がベテランコンビならではの計算された走りを見せてくれることでしょう。
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 一方ガイヤルドの方はトリプルaガイヤルド66号車に古谷直広選手と若手の栗原宗之選手(史上最速の双生児、栗原ツインズの弟の方)が組み、同じくトリプルaガイヤルド67号車にはレース一家として名高い黒澤一家の3男、黒澤翼選手とJLOC最長ドライバー暦の和田久選手の強力コンビが組むことになりました。

 鈴鹿テストでは88号車が1日目午前中に2分07秒083、午後には2分05秒749のベストラップを出しまずまずの仕上がりに。2日目はタイムよりもコンスタントに走ることを重視したためベストタイム的には午前中に2分05秒961、午後は2分07秒575となるもののアベレージスピードは上がり開幕戦に向けて不安材料はありません。イイ感じです。
 ガイヤルドの方はまだまだ完成とはいえず、これから開発という感じでした。

>>3月15木曜日
 いよいよ第1戦鈴鹿大会の始まりです。ティームはこの日鈴鹿サーキット22〜25番ピットへ入りました。クルマが4台ならピットも4つです。これだけ広いと物の置き場に困るというよりは空間が目立ちます。
 22、23番ピットには新型車であるガイヤルドRG-3、24、25番ピットにはムルシエラゴRG-1が、それぞれ2台づつ入りました。週末は一応晴れるが気温が低く不安定な予報です。
 24、25番ピットは比較的ゆっくりと明日の練習走行の準備がされていますが、壁を隔てた22、23番ピットでは数日前に発見された原因不明の電気系トラブルの解決が出来ずにいました。マシン自体はその部分を残してほぼ出来上がっていましたが、エンジンまわりについてメカニックによる必死の作業が続いていたのです。

 まったくのブランニューな車種だけに報道陣もひっきりなしに来て取材をしようとするのですが、状況を見るなり邪魔をしてはいけないと思ったようで帰っていきます。
 則竹監督も付きっきりで指示を出しているがなかなか進展しません。一番の問題は新しいマネージングシステムでエンジンがかからないことでした。

 TeamJLOCではコンピューターのセットアップ専門の技術者(この人の名前、ファブリーズっていうんです。ファブリーズを見せたらユーロにもまったく同じ製品があるそうです)を来日させていたのですが、彼は可哀想なことに専門外のこの問題に対処することになってしまったのです。燃料系統も電気系統も異常は見られないのにエンジンはどうしてもかからないのです。

 この状況とは対照的にドライバーたちはさっさとサーキットホテルへ。オーナーとドライバーと合わせ十数名のディナー、今夜はイタリアン。フルコースイタリアンにワインが入って、各自明日に備えます。私はオーナーと打ち合わせがあります。2次回ではありますが明日からの作戦をじっくり打ち合わせました。

>>3月16日金曜日
 金曜日は練習走行日です。天候は晴れ気温は低めで人間には寒い日ですが走行にはよさそうなコンディションです。1回目の練習走行は午前10時15分からの90分間。88号車と87号車は揃ってピットアウトしセットアップを計ります。

 アピチェッラ選手と山西選手の88号車アクティオムルシェRG-1はスムーズな走りで2分6秒台を連発し、結局2分06秒349のベストラップを残します。
 桧井選手と余郷選手の87号車マルホンムルシェRG-1も素晴らしい走りで88号車を上回る2分06秒329というベストラップをたたき出し、存在を見せつけます。両方とも調子はまずまずといったところでしょうか。
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 こうしている中、22、23番ピットでは必至に車両整備が続いていました。何日も続く徹夜作業に耐えながらメカニック達は必至に作業しています。頭が下がります。
 午後2時15分からの2回目の練習走行をこなして88、87号車が走り終わってもなおトリプルaガイヤルドは、最大の問題であるエンジンが、かかっていませんでした。ファブリーズ氏も連続徹夜で頑張っているのですがね。明日の予選で何とか走ることはスタッフ全員の願いでした。

 この日のディナーは和食です。しかし私はメカニックさんの仕事の合間をぬって深夜にカッティングシートの貼り込みを目論んでいるのです。マシンのステッカーはまだメインスポンサーだけで色々なカタチのサブスポンサーのステッカー等をどこにどう配置するか、図面上はできていますが、貼り込むとバランスがあわなかったりしますので、自分で位置調整をしながら作業します。

 幽霊でもでそうな丑三つ時、サーキットに行くと、皆さん作業をしていらっしゃいます。ご苦労様です。私が作業を終えたのは午前7時頃でした。一度ホテルに帰り、ドライバー達を載せてまたサーキットに。

>>3月17日土曜日
 この日は早朝からメカニックは公開車検とタイヤマーキング、ドライバーもブリーフィングがあります。こうして慌ただしく午前10時10分からの予選に臨むことになります。

 車検の方は4台すべてが問題なく通り、あとは予選を考えればいい。しかし、残念ながらトリプルa ガイヤルドは問題点は突き止めつつあったものの、予選の開始時間直前になってもエンジンに火が入りませんでした。
 作業が進んでいなかったのではなく、まず車検を通すための整備が行われたのです。一般的にいうと車検が通るのだからすぐ走れると思ってしまいますが、レーシングカーの車検は書類、レギュレーションに合致しているかを確認するものなのです。
 こうしてガイヤルドがエンジンがかかっていない状態の中、予定通り予選が始まりました。はじめの20分はGT300占有、次の20分はGT500占有、そして最後の20分は両クラス混走というプログラムです。
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 今回のアタッカーは88号車が山西選手、87号車が桧井選手です。山西選手が2分04秒173を出せば、桧井選手も2分04秒509をマークしてピットイン。混走時間帯にドライバー交替して基準タイムをクリアし、2台揃ってスーパーラップ進出がきまりました。
 一方ガイヤルド組みの古谷、栗原、黒澤、和田の各選手はとても残念なことが表情からうかがえました。

 この日の昼は開幕戦ということもあってドライバー全員の記念撮影があります。クラスごとの撮影でTeamJLOCはなんと8人が顔をそろえます。
 午後になって2回目の予選が始まりましたが、この時点でもガイヤルドはエンジンがかかりません。短い午後の予選が終わるとすぐにスーパーラップです。10位の87号車桧井選手がスタート、2分06秒221という記録は少し予選タイムに及びません。一台おいて88号車山西選手がスタート。記録は2分04秒257で結果、順位をひとつ上げました。これで明日の決勝は7番手と10番手スタートとなりました。

 則竹監督は明日のフリー走行までにエンジンシステムをノーマルに戻すことを決意し、カイヤルドのメカニックはまたもや徹夜の作業となりました。

 この日のディナーはお約束の中華です。サーキットホテルの中華料理は四川料理なので辛いこと辛いこと。でも昨年はこのパターンで優勝したのでみんな汗をかきながら辛い料理に挑戦です。

>>3月18日日曜日
 この日の朝はウォームアップランで始まります。天候は晴れて素晴らしいコンディション。この日朝から22、23番ピットには競技長などの係員が来てガイヤルドが走行可能かどうかを判断していました。そうです、エンジンはかかっていました。決勝には出られないものの、この朝走ってグリッドに並べることはティームの悲願です。

 その結果、66号車のみはテスト走行の実績があるという理由でウォームアップ走行を許されました。古谷選手が乗り込みスタート。オフィシャルよりすぐにピットインが指示されていたためピットインしましたが、異常が見られないので再度走行。ピットインを繰り返して異常のないことをアピールしました。
 66、67号車共に決勝レースには参加できないもののスターティンググリッドに並ぶことを許可され、66号車は自走でグリッドにつくことが許されました。

 グリッドでのセレモニーが終わり、決勝へのフォーメーションラップが始まりました。スタートドライバーは88号車は山西選手、87号車は桧井選手です。共に問題なく1ラップしてスタート。
 フォーメーションラップで1台後退したため、6番手と9番手スタートです。序盤は順位的に変動はないものの山西選手はすでにオーバーテイクを予感させる鋭い走りで前車を威嚇しています。

 10周目までこのままの順位をキープしていましたが、逆に87号車が11番手に落ちてしまいました。
 15周目には88号車は1台パスして5番手、19周目には4番手まで上がりますが、87号車の方は直線だけ速いポルシェに道を塞がれてなかなかポジションアップできないでいます。
 52周のレースですがGT300は48周でゴールすると予想されるので半分の24周前後にドライバー交替が予定されていました。

 先に88号車が24周でピットイン、その2周後に87号車がピットインする予定で、状態にもよりますが時間短縮のためリヤタイヤのみの交換する作戦が立てられていました。
 24周目に予定通り88号車がピットイン。燃料満タンでリヤタイヤだけの交換でアピチェッラ選手がピットアウト。26周目には87号車もピットインし同じ作戦で余郷選手が無事にピットアウトしました。

 ここから後半戦でどこまで順位を上げられるか注目です。コースに戻った時88号車は9位、87号車は16位に順位を落としましたが30周目に88号車は7位に復帰。32周目には88号車5位、87号車15位にポジションアップしました。
 45周目には88号車4位、87号車12位となりそのままゴールしました。
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>>レース終了後のコメント
山西選手
「マシンは去年よりよくなっています。タイヤもよかったし集中できました。マルコさんも素晴らしい走りで最高ですね。次も頑張ります」

アピチェッラ選手
「今回はレースを楽しめた。結果も満足している。山ちゃんがいいポジションで帰ってきてくれたのでよかった。次も楽しみだね」

桧井選手
「序盤にポルシェを先に行かせたのがまずかったですね。抜けないしタイヤかすを拾ったりで悪循環でした。完走したけど次はもっと頑張ります」

余郷選手
「もう少し上にいきたかったです。久々のシリーズ戦でしたがランボルギーニのポテンシャルは、素晴らしいので、次も頑張りましょう」

則竹監督
「今回は天国と地獄を味わった感じですね。ガイヤルドはトリプルaの高木社長とご家族までおいでいただいたのに電気系トラブルでグリッドまででした。メカニックもスタッフも不眠不休で頑張ったしドライバーにも辛い思いをさせて申し訳ないが、この借りはきっちり年内に返します。暖かい応援をお願いします。
ムルシェの方は狙った通りでした。88号車は速さとうまさを合体したようなコンビでクラス最高だと思うし、87号車も知恵と知識のあるベテランコンビ、両方とも素晴らしい。88号車は4位、87号車はポルシェを前に行かせてしまったが、大健闘してくれたと思っています。次回も頑張ります」

古谷選手
「ガイヤルドのドライバー4人を代表して、一言。メカニックさんの努力を間近に見ていました。ドライバーは出来上がったクルマを走らせるわけですからこれからですね。クルマ自体のポテンシャルは非常に高いのでこれからひとつひとつセットアップしてムルシェ以上のマシンに仕上げていきます。見ていてください」

というわけで、次回岡山に期待してくださいね。
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