給油担当のレース参戦記(第9戦富士)

2006 スーパーGT最終戦 富士300Kmレース

 岡山で“優勝”を成し遂げたティ-ムJLOCは、月曜日ムルシーくん4号を工場に降ろして、ムルシーくん2号と3号、つまり88号車と87号車の残った整備にかかります。2週連続レースはおじさんメカニックにはかなりつらいですよ、体力的に。
 88号車はかなり進んでいますが、87号車は、オートポリスでのクラッシュの修復のために時間がかかっています。しかし重大な問題ではないので何とかなるでしょう。
 今回のレースは世間は3連休のようで、「友達が見に行きたい」と連絡をよこすのですが、私もチケット代が高いので、土曜と日曜で分けて来てもらうことにしました。

給油担当のレース参戦記(第9戦富士)

 11月2日木曜日。静岡に迎えに来てもらい御殿場に向けて出発です。途中で昼食をとりサーキットに到着です。搬入開始時間も決められているので、トラック部隊はパドックに入れず外で順番に並んで待っています。全ティームのトランスポーターが並んでいます。絶景ですよ!!!
 メカ部隊が揃って設営を開始します。富士はピットが広いので全部降ろしても余裕です。ホスピタリースペースもピット内に設営します。ドライバー用の個室もありとっても便利です。F1開催を目標に作ったピットですからね。国内サーキットの中では超豪華ピットです!!!!
 ムルシーくんですが88号車も作業は残っていますが、87号車が今回もかなり作業が残っています。87号車の作業が深夜まで続きそうです!数名のスタッフと先にホテルに向かいます。サーキットは雨と霧です。ホテルは富士吉田です。富士吉田と来ると今晩の食事はやっぱり牛角ですね!!レースウイーク1回は“牛”食べておかないと何か落ち着きません。今回は忘年会の話で盛り上がり、ホテルに10時ごろチェックイン。すぐに大浴場でのんびりです。ほんと気持ちいいです!!!

給油担当のレース参戦記(第9戦富士)

 11月3日金曜日。世間では3連休の始まりらしいですがお天気はまあまあでいんじゃあないでしょうか。朝食はホテルのレストランでバイキングです。朝から温かいみそ汁とご飯、いいですね〜〜〜!
 今日の走行メニューは何かな〜〜。タイヤライフの確認、燃費、特にタイヤライフに重要なキャンバーかな。後はトップスピードでしょう!!前日の雨が残る路面で様子を見ながら走行開始です。
 87号車は問題なく走行中ですが、88号車はエンジンパワーが無いみたいです。前回オートポリスからエンジンは何も変わっていないみたい。ピットインの後、あれ!!エンジンが回らない。「ブースターバッテリー!」、スターターか?「バッテリー交換!」
 チェックをしているうちに何とかエンジンが再始動でき走行は出来ましたが何か怪しい雰囲気です。原因がつかめず?マークだらけ!!
 88号車は見えない電気と戦うはめに。87号車は木曜日の状態からは想像つかないほど快調です。タイムも少し詰めることに成功しています。富士のレースをどのように戦うか、シュミレーションはある程度できてはいるものの、成功する確率は低いかも知れません。しかしここでティームの“運”を試すいい機会かもしれません。

 午前中の走行で87号車は大きく変更は無く、午後の走行に備え燃費の計測を重点に整備にかかります。88号車は今は問題なくエンジンはかかります。午前中のピットインの再始動が出来なかった原因が解りません。あの時のようにエンジンが掛からなければ原因を追及できるのですが?燃圧、点火、う〜〜ん!!わからな〜〜い!!!
 午後の走行はチョット遅れてスタート。87号車はロングランテストで、ほぼセットも出てきているので微調整かな!! 88号車は走行開始時点では問題なく走り出してウイングを中心にセットを出す予定です。 トップ10に入れるかどうかギリギリのタイムで走行が続きます。88号車のタイムが伸びません。87号車が、1分44秒台なのに88号車は45秒台です。う〜んエンジンかな??
 500クラスと混走の後、300クラスの占有走行です。ニュータイヤでアタックを試みますが見事に失敗、43秒台に入った所で終了です。さ〜〜て88号車ですが、ピットインして再始動がやはり出来ません。パソコンでエラーを探すとエンジン回転が拾えていません。すぐさまスペアーに!!あれ無いの?なんてこった!!配線かな?センサーかな?考えてもしょうがないとりあえず原因を突き止めることに。そんなこんなしてる内に走行時間終了です。残念ですが問題はかなり大きく重症かも!!今夜は遅くなりそうです。

給油担当のレース参戦記(第9戦富士)

 87号車は、アライメント調整とフロントバンパーの調整、あとは通常のチェックです。88号車は、エンジン再始動の問題とバイブレーションが問題です。どこからか小さな振動が出ます。タイヤかすを拾っての振動と思われますが、原因はもっと深刻かも?とりあえずリアのハブを交換。エンジン回転信号のセンサーを87号車の物と交換して試して見ることにしますが、解らない。なんでしょう!!!!
 悩んでもしょうがありません。予選はスタートしたら再始動しない。これで行きましょう!!(そんなアホナ)予想以上に救済処置を受けた車両が速く、ムルシーくんはシリーズポイントが中段から下になっています。ウエイトハンデが効いているようです。

 私たちのティームは2台ともタイヤ無交換、ドライバーは後半にマルコ選手と山西選手で行く作戦です。ピットインも後半最後まで走り切分しか給油しない作戦です、タイヤ無交換はかなり厳しいですが、おそらく他のティームも同じような作戦で来ると思われます。
 今晩は87号車組みと先に帰ることにして、お食事は和食屋さんです。5月に食べた鉄火丼をいただきます。とっても美味しいです今日も満足、満足!!!ホテルの大浴場でのんびりしてさっさと寝ます。土曜日は早起きしないと。

 11月4日土曜日。晴れ、曇り?。寒いです。ホテルであたたかい朝食たべて元気よく出発です。今日はまず車検ですが実際は前日にほとんど車検は終っています。公開車検ですのでお客さんがいっぱいです。今回特にお隣さんがニスモさんですのですごい人です。ついでにムルシーくんもしっかり見ていってください〜い!
 タイヤマーキングも終わり、給油装置の検査も終わり、あとは88号車が問題なく走ってくれますように。予選は300クラスから。少々時間を置いてスタートです。87号車山西選手、88号車マルコ選手、最初にタイムを出してきたのはやはりマルコ選手。1発で決め!!て感じ。しかし43秒台真ん中です。山西選手はどうもタイミングが悪いですね!1度ピットインしてオーバーステアを調整してもう1度アタックですが43秒後半です。昨日と操縦性が大きく変わってオーバーステアです。混走までにセットを調整して、和田選手が予選アタックです。44秒台まで詰めてきました。88号車は檜井選手が混走時間でタイムアタックですが、やはりエンジン再始動に時間がかかりチョットビクビクでした。とりあえず終了ですが、スーパーラップ進出は2台とも出来ませんでした。実はこれも作戦??(そんな訳無いよね!)

 88号車は深刻な問題で予選2回目までに何とか修理しなくては。最悪、工場のムルシーくん4号からシャシー配線をはずして移植する案まで出てビックリです。とりあえずムルシー4号からエンジン回転信号を拾うセンサーを外し交換する事になりました。何となく5月の富士のレースの雰囲気です。87号車は操縦性の激変の原因を探します。チェックをしながらおかしな所をさがしますが別に無いです。あとはフロントバンパーの高さかな?
 予選2回目は87号車和田選手のロングラン。88号車はエンジン再始動不良の原因追究です。87号車は無事終了。88号車はパソコンで見るとやはりサンサーが原因と考えられますが?何となくそれだけでは無いような気がします。スーパーラップが始まっていますが、どんどん作業に取り掛かります。
 87号車はフロントバンパーの高さを調整します。決勝に向けてシャシーのアンダーカバーを外してチェックします。88号車はなんとデフの調整です。ノンスリップデフの調整?何か問題ありなのでしょうか。デフが外されたところで88号車のお手伝いに加わりデフを調整します。87号車は順調に作業が終了し10時頃には帰れる状態です。
私も88号車のデフをムルシーくん2号に取り付け無事にエンジンがかかった所でお先に〜〜〜て感じ。まだセンサーを取りに行ったパーツ担当は戻ってきていません。先に帰り富士吉田のラーメン屋さんでお食事です。色々考えてラーメン屋さんにしました。<めんくい>が多いので???ホテルの大浴場もさっさと切り上げ今日も爆睡です!!!

 11月5日日曜日。富士吉田の天気は曇り、雨でなければ良しです。ホテルの朝食はコンビにのパンと違いご飯と味噌汁いいですね!サーキットに着くころには青空も見えあたたかそうです。9時5分フリー走行開始、87号車の操縦性は元に戻ったでしょうか?88号車のエンジンと振動は?
 87号車は快調、問題なしでしょうか。88号車はひたすら走行を続けます。本番さながらにドライバー交代です。しかし再始動不能が有り88号車はコンピューターを交換したり、プログラムを入れ替えたりしてなんとかエンジン再始動に成功しましたが困った問題です。
 タイムは2台とも44秒台でほぼ同じです。マルコ選手も山西選手も中古タイヤの減った状態でのフィ-リングを確認します。88号車のバイブレーションは解決できたようです。
 走行が終わると決勝に向けて87号車は通常のチェックです。88号車はエンジン再始動不良の原因を追究していきます。万が一に備え決勝中ピットインして再始動不良の時、マシンをピット内に入れ、誰が何をどう作業するか打ち合わせし、今のうち準備しておくことにしました。(どうか無事再始動出来ますように、魔法を(***+++####ブー)効くかな?決勝までは時間も有りますが、のんびりは出来ません。決勝用のガソリンを買いに行き、準備を整えます。今回のピットイン作業は私だけです。

 いよいよ決勝です。2台のムルシーくんにガソリンを満タンにしてグリッドに送り出します。私はすぐに給油タワーにガソリンを上げ準備OKです。
 グリッドは88号車は16番手檜井選手。87号車は19番手和田選手。ここからどこまで上位に進出できるでしょうか。タイヤ無交換作戦を取りそうなティームは、おそらくラップタイムを落としてくるはずです。66周目にゴールする時どこまで行けるか。シミュレーションでは6〜8位と予想ましたが?
 今年最後のレースがスタートです!!。隊列を整え500クラスからスタートしていきます。続いて300クラスです。来ました来ました。ムルシーくん2台は順調にスタートすることができました。ポジションアップは?88号車14位、87号車は?2台のムルシーくんの予定のラップタイム45秒〜46秒台で周回を重ねます。トップ集団は43〜44秒です。1周1〜2秒離されて66ラップ、いやおそらく5〜6ラップ500クラスより少ない計算で60ラップ。60周X2秒=約120秒遅れることになります。ピットインの作業時間も通常45秒ですがJLOCは約25秒です。ここでも約20秒詰められます。60ラップ後にはトップから約100秒遅れる計算になります。レースでは『〜たら』、『〜れば』は禁物ですが、今回は勝負にでます。

 順調に周回をかさねる2台のムルシーくんのペースは、非常に安定しています。44秒〜46秒台です。500クラスに抜かれる時は47秒台に落ちますが、走行ラインを外しますから仕方ありません。
 後半の2人ドライバーは準備も整えいつでもOKです。早い時点でのピットインを予定しています。23〜25ラップです。87号車からピットインです。ドライバー交代と燃料給油です。タイヤも用意しますが作業なしで27秒ほどでピットアウトです。続いて88号車。こちらも26秒でピットアウトです。順位は下がり20位あたりですが、皆これからピットインです。

 どこまで順位を上げられるかアウトラップが勝負です。タイヤ無交換の利点の一つです。87号車山西選手は44秒台で周回をかさねます。88号車マルコ選手も44秒台。タイヤを労わる走りですがタイムは安定しています。他のティームがぞくぞくとピットインしてきます。その度に順位を上げていきます。88号車が10位、87号車14位。また順位を上げました。入賞圏内まで上がってきました。8位、12位もう少しです。2台のムルシーくんは後半もペースが落ちません。最後までこのペースを維持できると2台とも入賞の可能性が見えてきました。他のティームでもタイヤ無交換や、リアだけフロントだけ、とガンバッテましたが、後半ここにきて厳しいようです。ムルシーくんは快調です。残りも10周をきりました。88号車6位、87号車11位です。87号車はあと1台抜けば入賞です。攻める山西選手、前を行くビーマックを抜いて10位です。

 さ〜〜〜!!最終ラップ、あ!トップが。300クラストップが止まった!!!その横を2台のムルシーくんが通過していきます。え!あれ!、5位と9位です。ヤッター!!!ダブル入賞です。ヤッター!!!出来すぎの結果でしょうか。
 最終戦について考え抜いた作戦は予想以上の結果を残しました。2台完走、そして2台入賞!!よしよしです。ムルシーくんがんばりました。大変良く出来ました。最後まで攻めた山西選手もすばらしいファイトでした。マルコ選手のドライビングセンスはやはり飛びぬけています。無理をせずしかもタイムが安定している。どこで500クラスに抜いてもらうか計算しているようです。

給油担当のレース参戦記(第9戦富士)

 今年は鈴鹿で優勝して、菅生ではポールポジションです。ル・マンにも初参戦しました。おまけにJLMC岡山でも優勝です。2回も優勝しました。ランボルギーニでレースを初めて最高のレースシーズンを過せました。来年はチャンピオン争いが出来るようにがんばりたいと思います。

 恒例の撤収作業に入りましょう。作業はテンションが高いまま、おまけに忘年会はなんと!!海外“まじですか”〜〜〜!!なんと!!海外で忘年会&優勝記念打ち上げです。作業の途中でチョット一息、スタッフ全員で乾杯です、キャンギャルのおねいちゃんも一緒にはい!撤収作業も順調に終わり、サーキットを後にします。

 スポンサーの皆さん、ヨコハマタイヤの皆さん有難うございました。応援してくださった皆さん有難うございました。来年もドキドキするようなレース見せます。是非サーキットに応援しにきてください。ランボルギーニサウンドを生で聞きに来てください。

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