かわら板担当のレース参戦記(第5戦菅生) |
レースレポートが滞っているとお叱りを受ける今日この頃。給油担当がとても忙しいらしいので、私、かわら板担当があわてて書くことになりました。思い出し思い出し書きます。
さて、第4戦のマレーシアはお休みしたので、ル・マンから帰って1ヶ月弱、第5戦の菅生大会にいきます。ウエイトハンデは88号車が5kg、87号車は0kgとなり、今回は戦闘能力がまた少し高くなりました。また、両車共に新型のデフを装備し、エンジン搭載位置をより低くしたため重心位置をさらに低く設定できたこともいいと思います。
ポイントランキングはマレーシア大会を休んだためティームランキング4位(88号車)、そしてドライバーランキングは88号車が5位、87号車が12位というところでどちらも少しでもポイントを取っておきたいところですよね。
ティームは7月20日の木曜日に宮城県・スポーツランドSUGOに行きました。ピットは13、14番ですが、やはり菅生はピットがとても狭いですね。それに長い梅雨が明けず、どんよりした天気が週末まで続くというので、雨も心配ですがこの時期特有の霧にも悩まされそうな暗い天気です。だからといって気がめいるかというとそうでもなくて、相変わらずノー天気なティームJLOCです。
ただし、今回用意されたレインタイヤは1種類で、インターミディエイトなど、レインとドライの中間の微妙な路面に対応するものはないので、そういう中途半端な天気にならないことを祈ります。晴れなら晴れ、雨ならはっきりとしたドシャブリがいいですね。でもこれが後々よい結果となります。ドライであればソフトとハードの2種類のスリックタイヤが選べます。
お泊まりは仙台市内、夕食は最近毎回お邪魔している○○精肉店です。その名の通り精肉店が経営する焼肉屋さんで、なかなか美味しいお肉を出していただけます。ランボのティームとしてはレースウイーク最低1回は牛肉食べないといけないのです。馬を走らせているティームは馬刺しを、焼酎メーカーがスポンサーのティームは焼酎飲まないと辻褄が合いません。JLOCは心が広いので馬刺しをつまみに焼酎飲むこともあります。
金曜日は例年にない涼しさになりました。というのも梅雨前線が日本列島を覆い雨を全国的に降らせているからです。ここスポーツランドSUGOも朝から雨でしたが、練習走行開始までに雨は上がりました。とおもったら今度は霧が出て、9時45分からの走行時間は若干遅れて10時7分過ぎから、ところが1周もしないうちに、また霧が濃くなり赤旗中断となりました。結局11時過ぎに雨が降り出し、それによって霧が晴れて練習走行は再開されたましたが15分ほどで終了となってしまいました。この時点で87号車は1分51秒054、88号車はまったくクリアラップがとれずに2分台というタイムしか出せていませんでした。
午後の練習走行はほぼ予定通り14時20分から始まりました。気温は17度、路面温度19度と午前中とあまり変わらないコンディションのヘビーウエット状態で、87号車は1分40秒117をマーク、88号車も1分40秒493をマークしました。
このセッションの練習走行は、コースアウトする車両が多くて、何度も赤旗中断となりましたがティームとしては一応のセッティングはできました。ただし、明日の予選では2台ともスーパーラップ進出が目標です。
今日の晩ごはんは和食です。ていうか居酒屋メニューが好きなんですね。おつまみをたくさんとってお酒と一緒にいただくのがJLOC流っていうんですかね。そのうちお腹いっぱいになってしまい、食事というよりは飲みに来ている印象ですね。その後またまた2次会です。肝臓鍛えなければなりません。
土曜日は予選日。心配された天候はやはり雨でした。メカニックは朝早くから車検の準備、ドライバーもドライバーズブリーフィング出席のため早朝ホテルを出発します。第1回目の予選は午前11時からですが、ウエット宣言のもと予選が始まりました。気温18度、路面温度20度と昨日とあまり変わらないコンディションですが、雨足は弱く多くの車両が走った予選終盤の混走時間帯に路面がもっとも良くなると予想されました。
GT300占有時間帯に両車共にふたりとも基準タイムをクリアし、混走時間帯に再度アタックすることにして、ピットアウト。88号車のマルコ・アピチェッラ選手は1分34秒497というベストラップを出して桧井保孝選手にバトンタッチ。桧井選手も1分38秒台を記録しました。
一方87号車は山西康司選手は、運悪くクリアラップがとれず1分36秒810というタイムでWADA-Q選手に交代、WADA-Q選手はすぐに1分38秒台をマークしてこの占有時間帯の予選を終了しました。
20分のインターバルの後、混走時間帯となり、87号車山西選手、88号車アピチェッラ選手がタイムアップすべくピットアウトしたが、40台以上が走るこの時間帯ではタイムアップはならず、結局88号車は9番手でスーパーラップに進出、87号車は21番手となりました。
スーバーラップは各クラス上位10台が1台ずつタイムアタックして、改めて10位までのポジションを争うもの。午後から若干天候は回復しましたが霧雨が降り続き気温19度、路面21度でした。コースはドライでもいけるほど乾いた部分と水がたまった部分があり、通常ならばインターミデエイトタイヤの選択がされる状況でしたが、今回はレインタイヤかドライ用のスリックタイヤのどちらかしか選択できないのでティームもアピチェッラ選手もかなり迷ったようでした。
10番手の77号車からのタイムアタックの予定でしたが、トラブルで出走できず9番手の88号車アピチェッラ選手からのアタックとなりました。アピチェッラ選手が最終的に選択したのはスリックタイヤ。どんなタイムで走ってもこれ以上順位は落ちないので、ギャンブルに出たのでした。アピチェッラ選手の渾身のアタックによるタイムは1分28秒040という素晴らしい記録。8番手の2号車もスリックで走りましたが、わずかに届かず、続く7番手がレインタイヤでアタックして30秒を切れないのを見て上位ティームも一斉にスリックタイヤを選択しました。しかしその後走った車両はアピチェッラ選手のタイムに届かず、1台走るごとに順位が上がり、ピットは興奮状態。路面状況が回復しながらもついにその後アピチェッラ選手のタイムを上回る車両は出ず、ポールポジションを獲得したのでした。
アピチェッラ選手も桧井選手、則竹監督と共に満面の笑顔でティーム創設以来初のポールポジション獲得を喜びました。ポールポジションの記者会見は鈴鹿の優勝インタビューを思い出させるシーンでした。ポールポジションの御祝にこの日はスタッフ全員オーナーから美味しいお食事を御馳走になりました。2次回は最近恒例のスナック『う』です。焼酎、ワインなどお酒類、豪華おつまみ各種などたくさんの品揃えです。ここでも初ポール祝いの宴が滞りなく行われたのでした。
日曜日の朝、路面は乾いていました。このレースウイークで初めてのドライ路面なので、どのティームも朝のウォームアップ走行はドライタイヤのセッティングと皮剥き(タイヤを発熱させ熱を入れて走り出してすぐに高いグリップが出るようにすること)で忙しくなりました。
ティームJLOCもスリックタイヤで燃料満タンの決勝シミュレーション。ウォームアップは午前9時からなのですが霧で若干遅れて9時4分からスタートしました。特に問題なく快調に2台とも走り終えましたが87号車は走行後の点検でデフからのオイル漏れが見つかりました。メカニックは昼食返上でデフを分解しシール交換をしましたが、スターティンググリッドに間に合わずピットスタートとなりました。それでもスタートドライバーの山西選手は冷静にここから追い上げを狙います。
一方ポールポジションからのスタートとなる、アピチェッラ選手もリラックスしています。天候は曇りですが、まず雨の心配は無さそうです。
午後2時前にローリング開始、1周まわってスタートが切られました。87号車は最後尾からスタート。88号車はトップのまま1周目をキープしましたが、3周目に3位に落ちてしまいます。ここで争うより後で十分抜けるので無理はしません。これも作戦です。87号車は10周目にグリッド順位の21番手に復帰、11周目に20番手と少しづつポジションアップしていきました。
17周目88号車は5位、87号車は15位となりました。81周で競われるこのレースですが、87、88号車共に44周前後でドライバーチェンジを行う予定です。26周目には88号車4位。87号車14位となり、再び両車ともポジションアップ体制になりました。レース中盤の40周目には88号車は3位に、87号車も11位になりました。そして88号車がトップに返り咲いたころピットインのタイミングとなりました。まず45周目に87号車がピットインし山西選手からWADA-Q選手へ交替しました。燃料満タン、タイヤ無交換で無事ピットアウトしました。続いて88号車もピットインしアピチェッラ選手から桧井選手に交代、こちらはリヤタイヤのみ交換しました。
コースに戻ると88号車は5位、87号車は14位でした。ところが88号車がGT500の集団と絡み右フロントフェンダーとミラーを破損して緊急ピットインとなってしまいました。ミラーをガムテープで支えますが、風圧で見えず再度ピットインすることに。その間に87号車が先行し、87号車は13位、88号車は14位となってしまったのです。
レース終盤の70周目は87号車WADA-Q選手12位、88号車桧井選手は14位でピット前を通過して行きました。もうすぐチェッカーというとき88号車はさらに無謀なGT500車両にヒットされ順位を落として行くことに。88号車の右側は、フロントフェンダー、ドア、サイドステップ、リヤフェンダー、リヤウイング翼端板とすべてのパーツが破損している見るも無惨な状態です。そしてチェッカーフラッグが振られる中、87号車は12位、88号車は15位でゴールし、完走を果たしたのでした。
菅生からの帰りは山西選手とふたりでのんびり浅草まで帰ります。最後尾から10番手まで追い上げた山西選手はこのレースを楽しんだようで、終始爽やかな笑顔でした。