給油担当のレース参戦記(鈴鹿) |
1994年、無茶と解っていても始めてしまった、ランボルギーニでのモータースポーツへの挑戦。兄と「め様」がはじめたものの、結果の残らないレースを繰り返し、走らない車にお金をつぎ込み、人生を賭けた兄は翌年亡くなってしまいました。今年は戦い続けて13年目、亡き兄の後を則竹オーナーに託し、私はメカニックとして一緒に戦ってきました。
JLOCのみなさん、スポンサーのみなさん、則竹オーナー、本当にありがとうございました。優勝することができて兄も最高に喜んでいると思います。
それではいつもの給油担当のレースレポートをお届けしましょう。今年は、ル・マン参戦決定のニュースから幕をあけたシーズンでした。オーナーからの電話に驚き、「本当に行けるんですね!」と聞き返してしまいました。2006年スケジュールが発表されてもティームからのお誘いは無く、1台なのか?2台なのかも解らず、全日本スポーツカー耐久シリーズにも参戦するのか?何もかも解らないまま「今年は、無理かな〜〜」と思っていました、昨年暮れのキャンギャルとの忘年会もキャンセル、新年会もキャンセル、何より一番ガッカリしていました。
しかし何も無いと思っていた所にメカニックお誘いのお電話。「ラッキ〜〜〜」。3月のテストは1台参加のため私は、お休みですが気になるタイムは、ネットで偵察。いつもの順位レースタイムならOKなんですが。詳しいことが解らないままレースウイークに突入!悲しい情報がいっぱい「エンジンが終わりかけてる」「サーキットで乗せ買えかも?」「スタッフが変わりました」とか???
3月16日悪いニュースばかりの重たい空気の中、東京組に拾ってもらい、いざ鈴鹿へ。先ず腹ごしらえに皆でラーメン、今回は「め様」、古谷選手、山西選手と一緒です。ここ静岡から私の運転で「め様」の新しい車でいざ、いざ鈴鹿へ。
雨の中サーキット到着、チーフメカ、エンジニアは、昨年と代わらず一安心。のんびりしたい気持ちに大問題が待ち受けていました。リアウイングとタイヤサイズ、エンジニアと相談の結果取りあえずリアウイングとタイヤサイズを、FiAGT2レギュレーションに合わせて、取り付け位置を変更することに。いきなり大問題発生に、私としては、あ〜〜〜あ!!開いた口が塞がらない状態!!??なんでこ〜〜なるの???
さっさと作業を開始、12時までに終わりた〜〜ィ!!取り付けたウイングは、ウイングではなく、これはスポイラー。(ボディと近付いちゃってます)明日は雨99%むりです。適当に取り付けて何とか別の方法を考えなくては???
3月17日ホテルを出発、コンビニで朝食買ってサーキットへ。アンパンがおいしい!! 9時30分走行開始。路面は、ウエット、レインタイヤで走行開始、しかしとてもまともに走れない。このリアウイングでは。
この時点で打開策は一つ。特認車両としてのレギュレーションに合わせ、タイヤサイズを昨年に戻すしかない。すぐさまヨコハマタイヤさんと密談が!!午前の走行はこの時点で終了。午後の走行にそなえて、リアウイングを元に戻し、各部をチェック。順位はほとんど最下位。お食事ものんびりと食べて午後に備えます。
14時30分、天気も回復しスリックでの走行開始。ターゲットタイムは、6秒代前半、このタイムでコンスタントに走れば勝算あり!!88号車、87号車ともに6秒台を記録、もう少しタイムを詰めたかった。午前中走行できなかったのが残念。 大きな問題はなく、さっさとチェックして終了、しかし疲れたホント〜に疲れた!! ホテルでチャングム見る予定が、やってない!がく!!そのままおやすみなさ〜〜い!
3月18日予選の朝、お風呂直行!!朝風呂はいいね〜〜〜!!いつものようにコンビニで朝食買ってサーキットへ。 9時50分、GT300クラスの予選開始。昨夜秘策のタマは、打ち込みましたがまさかの4秒台突入に唖然!「山西選手、頭おかしい!!」マルコ選手も5秒台突入、やった〜2台でスーパーラップか?両クラス混走の時間にセカンドドライバーが基準タイムをクリアしなければ意味が無い。
昔は心配の基準タイムも今や問題なく軽くクリア 何とかギリギリ2台揃ってスーパーラップ進出!バンザ〜イ!! 午後は雨、無理をしないようにして欲しいです。インターバルに88号車は、アライメント調整、87号車は、雨対策作業、今日も無事お昼ご飯食べられました、有難うございます。
14時、2回目の予選。予選といってもこの後のスーパーラップ出場の私たちは、何とか上位を目指し、セッティングをつめます。このRG-1は、フロントタイヤがキモなんです!。14時35分いよいよスーパーラップの開始です。やり方知らない我がティームはお昼ごろから、なんとなくざわざわと。(おはずかしい)
88号車が最初のアタック、皆でモニターを見つめ、壊さないように?無事アタック終了。他が何秒だしても余り気にしない。雨の中ミスをしないほうが勝ち!!どんどん雨が降ってくるのでその後のスーパーラップはスピン続出です。山西選手良いタイムです。あと一歩でトップにせまる2位。その後の予選上位グループはタイムでませんでした。
結果は2位、3位、なんか間違ってしまったようなポジション。しかし2台の車が並ぶと結う事は、2台が同じように仕上がっている証。F1でも同じティームのマシンが並びます。明日の決勝にそなえて、入念なチェック作業に入ります。 新しいスタッフが多く、コミュニケーションがうまく取れていない感じがします。ベテラン、初めてのRG-1、レースが初めての人もいます。この辺をまとめて行くのも、私の大事な役目!ガンバ!!!
この日は、オーナー主催のお食事会、サーキットホテルで中華三昧です。私は、このようなお食事会が大好きです。特にシーズン初めにはスタッフの親睦を深めるために欠かせないことただと思います。お食事会はドライバーも含め全員です。マルコ選手が友人のロッテラー選手を招いて座はにぎやかです。何気ない会話の中でドライバーと信頼関係を築くチャンスです。細かなこともお酒の席ですから気軽に話せて、御互いのレベル向上に繋がると思います、満腹、満腹!!も〜くえね〜〜〜!!! ホテルでのんびり、大浴場はきもちい〜〜〜!!!まぐれと言われた予選結果ですが、秘策あり。明日は勝算あり、と密かにウフフ!!!
3月19日天気が気になります。ここまできたら、87号車のエンジンが壊れるまで行くしか無い!!雨だろうが、晴れだろうが!! 朝のフリー走行は、87号車にバッテリートラブルで出だしが遅れてしまいました。88号車は順調の用です。87号車のバッテリーを交換し無事に送り出します。しかし無線で山西選手がブレーキのバイブレーションを訴えています。
まずい!ここで不安な気持ちにさせるのは非常にまずい!緊急ピットイン。決勝に備えて交換したブレーキローターか、ブレーキパッドに問題ありと判断し、すぐさまブレーキパッドを昨日までの物と交換。すぐにコースに復帰、振動は無くなり一安心。
タイムはイマイチでしたが細かいチェックはここでできました。ピット作業の練習、ドライバー交代の練習などです。しかし決勝で大きな、とても大きな問題が見つかりましたが、これは、今どうすることもできない問題点です。
2台のRG-1は大きなトラブルも無く決勝を迎えます。決勝に向けて、作戦もバッチリ、ドライバーからの細かいリクエストにも答える時間もありました。お昼ご飯も余裕で食べてカップめんまで食べてしまいました。決勝のお仕事は今年も給油係りデ〜〜〜ス!
いよいよ決勝のスタートです。準備万全あとはドライバーにお任せです。スタートはうまくいきました。すぐさま山西選手がトップに。マルコ選手も数周で2位にポジションアップ、快調に周回を重ねます。このまま!どうかこのまま!87号車のエンジンが壊れませんように天に祈る気持ち、久々の緊張感を隠しきれず、ただ椅子に座っていました。
18周を過ぎた時点でいつでもピットインできる体制でメカは待機です。 27周目、87号車が予定通りピットイン。予定どおり作業は進みましたが、ピットアウトの時ストップアンドゴーのメカが他車と接触してしまい頭を切ってしまいました。心配する中で88号車がピットインです。こちらは問題なくピットアウト。怪我をしたメカはキズ口を押さえながら、ゴーサインを送っていましたが、すぐさま医務室に!
順位は入れ替わりましたが、依然1−2体制です、ここで87号車の燃費が心配になってきましたが 後は運を天にまかせるだけです!どうかこのまま、このままゴールできますように。ラスト1周、87号車から無線が、緊張するピット。緊急ピットインになすすべも無くそのまま送り出しました。ガス欠?エンジン?コースに88号車がクラストップで戻ってきました。なんとも言えない喜び、ピットウォールに立ち両手でガッツポーズ。「め様」と抱き合ったあとは良く覚えていない!!何を言って、何をしたか、ただ兄のことが思い浮かび、泣いていました。恥ずかしいと思いながらも泣いていました。この日をどれだけ待ち続けたか、解ってくれる人がどれだけ居るのか。
「1番以外は、ビリも一緒」、この言葉を胸に色々な意味戦い続けてきました。 レースを続ける事さえできなかった95年、則竹オーナーにお任せし続けてきてしまった今日までのこと。すべて則竹オーナーのおかげです。きっと兄も天国で喜んでくれていると思います。
優勝の二文字、最高です!!